不定期刊行Web短歌誌。「詠う前から届かないこと考えるバカいるかよ!」


by tankatan9

石川美南さんからのメールと編集部からのお返事

歌人・石川美南さんより、「落選展」の開催につき編集部宛にメールをいただきました。

いただいたメールのメッセージにつき編集部で相談した結果、僕たちの考えを改めて表明するよい機会となるのではないかと思い、石川さんのメール全文をご本人許諾のもと転載させていただき、本エントリにおいて編集部からのお返事という形で伝えさせていただきます。





こんにちは。石川です。

落選展、とても面白い試みだとは思うけれど、個人的には違和感もあるんです。

賞を取れなかった以上、何が悪かったのか、きちんと見直す時間を設けるべき。改作するなり、歌の数を減らすなりして、より良いものにした上で形に残すのが、実作者としての誠意なのではないでしょうか。

もちろん、何回見直しても「自分はもっと上位でよかったのでは?」と思うくらいの気概があるならば、そのまま公開してもいいとは思います。でも、全員が全部の作品を開示するシステムは、「自分の作品を見せること」が先行し、入選した作品の鑑賞があとになっているようで、ちょっと私は乗れません。

言わずもがなのことですが、新人賞の選者たちは、自分の価値観を賭けて選考に臨んでいます。そして、賞を取ることは、並大抵のことではない(私はとったことないけど)。「賞の選考に異議を唱えるものではない」と断ってあるとしても、落選展を開くこと自体が、ある種、不遜な行為だということは、岡本さんにも、ましろさんにもわかっておいてほしいと思います。

えっと、なんか偉そうなこと言ってすみません(汗)。

私も賞には何度も応募しているし、何度も落選しているので、自分の作品を大切にしたい気持ちは痛いほどよくわかります。ただ、作品を読んでもらう喜びを安易に得ず、信頼できる読み手に届くまで粘ることが、最終的には自分のためになるんじゃないかと、私は思ってます。

なんだかんだ書きましたが、実際にどんな作品が集まるのかは興味があるので、楽しみに覗かせていただきます。


石川さん、こんにちは。

このたびは「落選展」の開催に真摯なご意見をお寄せいただき、誠にありがとうございます。

まずはじめに。
“「落選展」を開くことがある種、不遜な行為”ということについては、心したいと思います。歴史ある賞に選者として臨まれる方々の責任の重さは想像することすら難しいです。わかっているつもりにすらなれません。

その方々の評価に上らない短歌を大きく取り上げることは、確かに上品な行為とはいえません。万が一とは思いますが、選者の方々の心証を害することもあるかもしれません。

ただし、僕たち編集部としましては、公表されている選者の方々、また関係者の方々、入選者の方々に、以下に述べます思いをご理解いただき、ご海容いただければと思っています。

まず、この企画は文字通り「落選展」です。
まさに賞を取れなかったことを強く意識し、次へ踏み出すための企画と思っています。
石川さんのおっしゃるとおり、賞を逃した連作を、推敲・改作および、精査して仕上げていくことは、とても大事だと思います。

ただ、ひとつの完成した作品を応募して落選し、その後の自作についてこれからどこをどう変えていけばいいのか、また新しく次の作品への一歩を踏み出すにあたって、自分の進むべき方向がわからない人も多くいるのではないかと思います。たとえば僕ら編集部の場合でお話させていただきますと、「短歌研究」9月号に載っているのは、“予選通過”した事実と、自作のうち2首のみで、どこがどうよかったか、悪かったかの手がかりがないのです。しかしながら、全作品を公開してそこにコメントをもらうことにより、どうしてその2首が残ったのかということに対する何らかの答えらしきものにたどり着く可能性があると思うのです。

それはまた、佳作の人の掲載された歌と掲載されなかった歌の差について考えるとか、いろいろな作品を比較した上で、自分の作品の目指すべきところを探るとか、別の角度での賞対策するというやり方もあると思います。 出展者のみなさんにはそのためのテキストを提示していただいたという認識を持っています。

また、少なくとも僕らがネットで見かける歌人の姿勢として、比較的未完成な短歌もどんどん公開してそのうえであれこれ試行錯誤をしたい人もいる気がしています。そういう方々に、「落選」した作品をただ「落選」で思考停止してゼロにしてしまわず、そこから次に繋がる何かをつかんでほしいという気持ちもあります。

また、入選作に関しましても、自作を省みることなく棚上げにして、崇め奉るような姿勢で臨むよりも、「落選」した自作を自分の目、他人の目でしっかりと見つめた上で鑑賞したとき、その違いやすごさ、重さというものをしっかりと受け止めることができるのではないかと思っています。

そのような思いで今回の「落選展」の開催に踏み切らせていただいた次第です。
何卒ご理解の上ご容赦のほど宜しくお願いいたします。

短歌探求編集部 岡本雅哉 田中ましろ

※お問い合わせはこちらのメールアドレス宛にお願いします
tankatan9@gmail.com ←@は半角

*

【お知らせ】
今企画開催の契機となりました、「短歌研究新人賞」の結果は、「短歌研究」2011年9月号に掲載されております。ぜひお求めいただき、掲載内容と比較の上で楽しんでいただけますと幸いです。
9/2現在、amazon.comや楽天ブックスなどのオンラインストアでは軒並み売り切れのようです。
お近くの書店か、以下の出版社宛にお問い合わせ下さい。

「短歌研究」2011年9月号

(出版社)株式会社短歌研究社
〒112-8652 東京都文京区音羽1-17-14音羽YKビル
[ tel ] 03-3944-4822・03-3944-4833 [ fax ]03-3944-4844
[ e-mail ] tankakenkyu@kk.email.ne.jp ※@は半角にしてください
[PR]
by tankatan9 | 2011-09-01 15:40 | 落選展